養育費
こんなお悩みのある方へ
・養育費の相場を知りたい。
子どもの養育費は、離婚後も両親で負担していかなければなりません。
いつ、いくら請求できるのか、手続きの流れや重要なポイントについて解説いたします。
養育費とは
養育費とは、離婚後の子どもの衣食住にかかる生活費、教育費、医療費などの費用のことです。
父と母双方が収入や資産に応じてこれらを負担する義務を負っています。
夫婦が離婚した場合に、子どもを養育している側(通常は親権者となります)が、元配偶者に対して、養育費の支払いを求めることができます。
なお、養育費は離婚後の子どもの生活費のことであり、離婚までの別居中の生活費は婚姻費用となり、この婚姻費用には子どもの生活費も含まれています。
養育費は子どもの生活費のみですので、妻または夫の生活費も含まれている婚姻費用の方が高額となることが一般的です。
養育費の金額
1 養育費算定の2つの基準
・子どもの人数と年齢
養育費の基本の金額はこの2つの基準により定めることになります。
収入額は、給与の場合は額面額を基準とします。
源泉徴収票の左上の「支払金額」欄に記載された金額です。
自営業の場合の収入額は、確定申告書の「課税される所得金額」に、実際には支払っていない金額(青色申告控除や減価償却額など)を加算した金額を基準とします。
養育費は子どもの人数が多ければその分金額が増えますが、子どもが2人ならば1人の2倍というわけではありません。
また、子どもの年齢は14歳以下と15歳以上とに分けられており、15歳以上の方が金額は高くなります。
裁判所は、この2つの基準(双方の年収、子どもの人数と年齢)を当てはめて養育費の概算額を知ることができる養育費の算定表を公表しています。
あなたが受け取れる(または支払うことになる)養育費のおおよその金額を算定表で確認することができます。
*養育費算定表はこちら(裁判所サイトへ)
養育費の具体例
算定表を基にした養育費の金額の具体例を見てみましょう。
父の年収700万円
母の年収100万円
子ども1人(14歳以下)
母が子どもを養育
養育費は、算定表によると月額6万円から8万円の幅の上限額となります。
父の年収1000万円
母の年収300万円
子ども2人(14歳以下1人と15歳以上1人)
母が子ども2人を養育
養育費は、算定表によると月額14万円から16万円の幅のおよそ中間額となります。
2 教育費加算
養育費には、公立学校の教育費相当額が含まれています。
そこで、子どもが私立学校に通っていて、かつ、支払い義務者が進学について承諾している場合には、教育費の加算がされます。
もっとも、実際の教育費全額が加算されるわけではなく、公立学校の教育費を控除した金額を双方で分担することになります。
養育費の支払い期間
養育費は未成熟子 に対して支払われるものであり、支払い期間について法律上の明文はありません。
成人年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費は原則として20歳に達するときまで支払われると考えられています。
ただし、例外はあります。
養育費は未成熟子に対して支払われるものですので、自分で生活費を稼ぐことができない学生は未成熟子と考えられます。
この場合は、双方で合意をすれば22歳までと定めることが可能です。
父母双方が大学を卒業しており、子どもが大学に進学する可能性が高い場合や、子どもがすでに大学に在籍している場合には、22歳の3月までと定めることが一般的といえるでしょう。
逆に、18歳で就職する場合には、未成熟子ではなくなりますので、養育費の支払い期間は18歳までとなります。
養育費請求の手続きの流れ
1 話し合い
養育費については、離婚の際に話し合われることが多いです。
お子さんのためには養育費について定めずに離婚することはお勧めできませんので、養育費についてきちんと定めてから離婚をするようにしましょう。
話し合いで金額を決めることができた場合には、必ず公正証書を作成しましょう。
口約束や公正証書以外の約束文書では、養育費の未払いが生じたときに給与差押えなどの強制執行ができません。
強制執行が可能な公正証書を作成することは必須といえるでしょう。
2 調停申し立て
話し合いで金額が決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てます。
すでに離婚をしている場合は、養育費請求調停を申し立てます。
離婚と同時に養育費について協議する場合は、夫婦関係調整(離婚)調停を申し立て、その中で協議していくことになります。
調停申し立てに必要な書類は、①申立書、②戸籍謄本、③収入資料(源泉徴収票や課税証明書など)です。
申立書の書式は、家庭裁判所のホームページに記載されています。
3 調停期日
調停では、男女2名の調停委員が間に入り、双方から話を聞き、必要な資料の提出を促し、合意に至るようにアドバイスをします。
合意ができれば、調停成立となり、調停調書が作成されます。
4 養育費請求審判または離婚訴訟
調停は裁判のような強制力はありませんから、双方が合意しなければ、養育費の金額を定めることはできません。
離婚後の養育費請求で、養育費請求調停が不成立になった場合は、当然に審判に移行します。
そして、裁判官が当事者の提出した主張や資料を基に、適正な養育費の金額を定め、養育費の金額とその理由を記載した審判書が作成されます。
離婚がまだ成立しておらず、離婚調停が不成立になった場合は、審判に移行することはありません。
別途、離婚訴訟を提起するかどうかを検討することになります。
もっとも、離婚調停が不成立になっても、婚姻費用を定めることができれば、婚姻費用の支払いが始まることになります。
離婚訴訟を提起せず、婚姻費用を受け取りつつ、当面別居を継続することも一つの選択肢となります。
5 支払いの開始
養育費の金額が定まれば、支払いが開始されます。
支払い義務者が支払いをしない場合には、調停調書又は審判書により、給与差押えなどの強制執行をすることも可能です。
養育費請求におけるポイント
1.まず双方の年収を把握すること
年収がわからないと算定表に年収を当てはめることができず、養育費の概算額がわからないからです。
別居を開始する前に配偶者の年収(できれば直近のもの)のわかる資料(課税証明書、源泉徴収票など)を確認しておくとよいでしょう。
2.離婚後すぐに養育費の請求をすること
過去の養育費をさかのぼって請求することは難しいので、養育費を定めずに離婚した場合には、離婚後速やかに養育費の請求をすることが大切です。
3 養育費は将来、減額または増額の可能性があります
養育費は将来にわたっての支払い金額を、現在の状況をもとに定めるものです。
そのため、養育費を決めた当時に予測できなかった著しい事情の変更があった場合には、減額または増額の可能性があります。
・退職や転職などで収入が大幅に減った場合
・支払い義務者が再婚して、子どもが生まれた場合
このような場合には、養育費の減額が認められる可能性が高いと言えます。
4 再婚し、お子さんが養子縁組をした場合
例えば子どもを養育している元妻が再婚し、その再婚相手と子どもが養子縁組をした場合、第一義的に養育の義務を負うのは、養子縁組をした新しい父親(養親)となります。
したがって、原則として実の父親の支払い義務はなくなります。
もっとも、新しい父親に養育するに足りるだけの資力がない場合には、実の父親に養育費支払い義務が残る場合もあります。
弁護士に依頼するメリット
1 専門知識を駆使して有利な主張ができます
養育費を定めるにあたっては、双方の収入額の認定、教育費加算など様々な要素を考慮しなければなりません。
また、算定表が当てはまらないケース(高額所得者の場合、お子さんが4人以上いる場合など)もあります。
養育費に詳しい弁護士は、日々新たに出される裁判例を研究し、裁判所の運用も熟知していますので、その専門知識を駆使して、あなたに最大限有利になる主張を展開することができます。
2 安心して手続きを進められます
養育費に詳しい弁護士は、家庭裁判所の調停審判や訴訟手続きにも精通しています。
書類の作成はもちろん、調停審判や訴訟期日の出席の際にも安心して手続きに臨むことができます。
3 精神的負担を軽減できます
弁護士に依頼をされますと、相手との交渉や裁判所との連絡はすべて弁護士が行います。
これにより、あなたの精神的負担を大幅に軽減することができます。
養育費に関するご相談は、横浜もえぎ法律事務所へ
養育費に関する協議や手続きは、主張すべき事情の整理やその法的根拠などが非常に重要で、高度な交渉力と専門知識が必要となります。
当事務所では弁護士一人で解決実績200件以上の経験を活かして、最善の解決まで丁寧にお手伝いをしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。