【2025年最新】任意整理が難しくなっている現状について
任意整理任意整理は、裁判所を通さずに返済の負担を軽くすることができる手続きとして、広く知られるようになってきました。
しかし、ここ数年で、任意整理の条件が厳しくなっている傾向があります。
任意整理を検討されている方に、本コラムを参考にしていただけますと幸いです。
目次
任意整理とは
任意整理とは、当初の契約通りの支払いが難しくなった場合に、債権者と交渉して支払い条件を変更してもらう方法です。
任意整理の最大のメリットは、次の2つでした。
➀将来利息を免除してもらえる(無金利になる)
②3年から5年以上の長期分割払いにできる
これまでと2025年現在の任意整理の比較
2022年ころまでは、取引期間や債務金額にかかわらず、
・無金利
・短くても3年、長ければ5年以上の分割払い
という条件での任意整理ができていました。
ところが、2023年以降からこの条件が厳しくなってきています。
2025年現在の任意整理の傾向
将来利息を付けられる
3%から10%の将来利息を条件とする債権者が増えてきています。
特に取引期間が短い方については、高い将来利息を求められることが多いです。
長期の分割払いに応じてもらえない
以前は5年を超える超長期の分割払いに応じてくれる債権者もいくつかありましたが、
現在は5年を上限とする債権者が非常に多くなっています。
加えて、以前はどの債権者も最短でも3年の分割払いには応じていましたが、最近は、取引期間の短い方には、2年以内、厳しい時には1年以内の分割払いを求める債権者が出てきています。
具体例
これまでの任意整理
債務額50万円の場合、将来利息カットで、月額8500円(5年分割)
2025年最新の任意整理
債務額50万円の場合、将来利息10%で、月額1万7000円(3年分割)
※取引期間が短いために厳しい条件となってしまった場合
取引期間が短い方の任意整理は難しくなっている
このように、特に取引期間が短い方には任意整理は難しくなっています。
取引期間が短いとは、借り始めてから任意整理をするまでの期間が短いことで、取引期間がおおむね1年から1年半以内の方に対して、債権者は非常に厳しい条件を提示するようになっています。
その理由としては、将来利息をカットする任意整理は債権者にとっては利益がないため、取引期間が短く、これまでほとんど利息を支払っていない債務者に譲歩する理由がないということです。
加えて、最近の任意整理の件数の増加や、借り入れ直後に任意整理をするいわば誠意のない債務者が増えているとも言われているようです。
任意整理をするメリット
では、任意整理はもう意味がないのでしょうか。
そういうわけではありません。
現在支払っている金利が14.8%や18%である場合、それが3%から10%になれば、その分、完済までの返済総額も大きく減ることになりますので、その点のメリットは今もあると言えるでしょう。
また、取引期間が長い方については、現在も5年程度の長期分割で、かつ、将来利息免除の任意整理ができることも多いので、これまで長く頑張って返済してきた方には任意整理のメリットは現時点でも大きいと言えます。
複数社に借金があり、そのうち最後に借りた1社だけ取引期間が短いというような場合も、任意整理が非常に難しいのは最後の1社だけなので、全体としては任意整理をするメリットはいまだ大きいと言えるでしょう。
しかし、多くの債務につき取引期間が短い方については、任意整理の条件はこれまでと比較してかなり厳しくなると言わざるを得ません。
特に分割払いの期間をかなり短く設定され、例えば、今まで月額1万円の返済であった方が任意整理の結果、月額2~3万円の返済になるということがあります。
そうなると月額返済額はかえって高額となってしまうので、毎月の支払額を少なくしたいという目的には不向きな手続きと言わざるを得ません。
もっともこの場合も、将来利息をカットまたは低くすることが可能な場合は、完済までの返済総額を減らすというメリットはあります。
したがって、取引期間が短い方が任意整理を検討される場合は、その目的に照らして考える必要があると言えるでしょう。
2025年現在の任意整理の傾向まとめ
・将来利息のカットが難しくなっている
・分割払いの期間が最長でも5年以内
・取引期間が1年から1年半以内の場合は、利息及び分割期間のいずれにおいても条件がかなり厳しくなる場合がある
以上の3つが2025年現在の任意整理の傾向です。
以上を踏まえて、ご自身にとって最適な債務整理の方法を検討いただけましたら幸いです。
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